|
長屋さんは現在、山梨の八ヶ岳を拠点に活動を続けられていらっしゃいます。そこで生み出された5枚目のソロ・アルバム『すべての美しい闇のために』のテキストを書いたのをきっかけに、その後、ライブ・イベントに舞で参加したり、お仕事でも何度かご一緒させていただいています。
シンギング・ボウルや仏具の鈴(りん)、ゴングなどの倍音に満ちた澄んだ金属の余韻が重なり共鳴しあう、長屋さんが生み出す豊かな音の場は、まるで曼荼羅のように身を包んでくれます。その中にいると、自分の身体が循環して活性化あるいは沈静化していき、バランスをとり戻してくれるような感触も受けます。
長屋さんは30代に入ってシンギング・ボウルを中心とする金属を使った今の音楽スタイルを確立されましたが、その前はパンク・ロッカーであったそうです。そう伺って意外性と同時に私の中では得心のいくものがありました。
それまでのエレクトロニックな音楽から一転して、私たちアジア人の無意識の中に潜むものを探り、音楽として表現されることに向かわれた長屋さん。そうして掘り下げられたアジアの根底に触れるような音は、モンゴルのチベット密教の僧侶やネイティヴ・アメリカンのストーリー・テラーとのコラボレーションなど、世界中の人間精神の深層に届く響きと出会いながら、さらに深化し続けています。
パンクな精神を持って世界や人間のあり方を探り奏でられる音楽は、祈りのように聴く者を癒してくれるものではないかと思います。
|