●words from SAYOKO
●第一章 金属打楽器との出会い
●第二章 金属の響きへと導かれた2つの経験
●第三章 山梨の八ヶ岳山麓で
●第四章 生命が生命であるということ
●第五章 モンゴル仏教とシャーマニスム
長屋和哉●Kazuya Nagaya
ゴングやシンギング・ボウルなど金属の澄んだ余韻、それらを重ね圧倒的な倍音の渦で空間を満たし変容させる音楽家。1962年岐阜県に生まれ、小学生の頃からエレキ・ギターを弾き始める。パンク・ロックやアヴァンギャルド・ミュージックを経て、極東アジアに生きる自分の感受性を掘り下げようとしたときに、バリのガムランや仏具の鈴(りん)など金属の響きと出会う。現在、山梨の八ヶ岳山麓を拠点に、モンゴルのチベット密教僧とのコラボレーションやアメリカ・シャスタ山での公演を始め世界を巡っての演奏活動はもちろん、自ら聞き手となる焚き火を囲んでのトーク&ライブ『デュオニュソスの夜』も開催。今年1月には6枚目のソロ・アルバム『イリュミナシオン/冥王星』を発表。文藝春秋文学界新人賞佳作を受賞するなど文筆家としても活動し、読み応えのある硬質な文章でも音の背景にあるものを記したエッセイは必見。
http://www.ame-ambient.com/Nagaya/index.html

  長屋さんは現在、山梨の八ヶ岳を拠点に活動を続けられていらっしゃいます。そこで生み出された5枚目のソロ・アルバム『すべての美しい闇のために』のテキストを書いたのをきっかけに、その後、ライブ・イベントに舞で参加したり、お仕事でも何度かご一緒させていただいています。

シンギング・ボウルや仏具の鈴(りん)、ゴングなどの倍音に満ちた澄んだ金属の余韻が重なり共鳴しあう、長屋さんが生み出す豊かな音の場は、まるで曼荼羅のように身を包んでくれます。その中にいると、自分の身体が循環して活性化あるいは沈静化していき、バランスをとり戻してくれるような感触も受けます。
長屋さんは30代に入ってシンギング・ボウルを中心とする金属を使った今の音楽スタイルを確立されましたが、その前はパンク・ロッカーであったそうです。そう伺って意外性と同時に私の中では得心のいくものがありました。

それまでのエレクトロニックな音楽から一転して、私たちアジア人の無意識の中に潜むものを探り、音楽として表現されることに向かわれた長屋さん。そうして掘り下げられたアジアの根底に触れるような音は、モンゴルのチベット密教の僧侶やネイティヴ・アメリカンのストーリー・テラーとのコラボレーションなど、世界中の人間精神の深層に届く響きと出会いながら、さらに深化し続けています。

パンクな精神を持って世界や人間のあり方を探り奏でられる音楽は、祈りのように聴く者を癒してくれるものではないかと思います。



    
 



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